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2015-08-05

「絵本で死について考える」第壱回

今日は「絵本で死について考えるシリーズ」の一つ目です。

最初の絵本は『100万回生きたねこ』。この絵本はご存知の方も多いのではないでしょうか。当初はシリーズ化する予定はなかったそうですが、とてもいい対話の時間になったので次が用意されることになりました。シリーズが始まるきっかけになった絵本ですね。

それでは、絵本の紹介と振り返りは続きからどうぞ。



『100万回生きたねこ』あらすじ

 ねこは100万回死に、100万回生きました。100万人がねこをかわいがりました。でも、ねこはどの飼い主も嫌いでした。あるとき、ねこはのらになりました。そして、白いうつくしいねこに出会いました。ねこは白いねこと、彼女が生んだ子ねこを自分より好きになりました。
 ある日、白いねこはねこのとなりでうごかなくなりました。ねこは100万回も泣きました。ある日、ねこは白いねこのとなりでうごかなくなりました。ねこはもう、けっして生きかえりませんでした。

案内文

 なぜ彼は何度も死に何度も生きかえったのだろう。彼は生きていることをどんなふうに感じていたのだろう。なぜ彼はもうけっして生きかえらなかったのだろう。絵本『100万回生きたねこ』に登場するねこが生き、そして死んだ「人生」ならぬ「猫生」から生死について一緒に考えましょう。

振り返り

 今回はスライドの使い方をけっこう工夫しました。どうしてもクセで「ここの記述にもとづくと…」みたいなまとめ方をしてしまうので、なるべく行間が多い絵本の雰囲気を残す方向にもっていきました。絵本は言葉数が少なく語り過ぎることがないので、何かを考える上で良い始まりをくれるようです。もって行き方によっては、かなり直観的な思考を動かすこともできるんじゃないかなぁ、と。なんしか今回用意していったものはけっこう上手いこといったみたいです。

 参加者は45人ほどで小学生くらいの子もいたので、「まんべんなく各世代が来たぞ」と言ってもいいですよね?あのオフィス街のど真ん中で、子供から高齢者までが、生きるとか死ぬとかの話をする時と場を作れたことは、そこに居られなかった何かに場所を空けたんじゃないかと思っています。その「何か」を「死」というのか「生」というのか「いのち」というのかわかりませんが。大袈裟ながらもそう信じたいわけです。

 問いは二つ用意していて、一つ目は「なぜ100万回生きたねこはもう生きかえらなかったのか?」。この問いはねこについて考えるので、ちょっと自分自身のこととは距離を置きながら考えられる感じです。語り出されたことは、自分の生が他人のものなのか自分自身のものなのか、何かを失うことの意味の大きさ、などなどでした。

 二つ目の問いは、100万回生きたねこのいのちが「自分がこれで満足だと感じるまで何度でも生き返る命」だとして、「あなたは100万回生きたねこになりたいですか?」。なりたくないという人が多いんですが、なりたいという人もちらほら。参加者の方自身に問いを向けたので、ちょっと語りの雰囲気は変わったような気がします。うまく表現できないんですが、一つ目の問いほど輪郭がはっきりしないちょっとぼかしが入ったような語り口です。終わり際くらいにさらに突っ込んで「あなたはすでに100万回生きたねこと同じ命をもっているとして、あなたは1回で死ぬ自身はありますか?」と皆さんに聞いてみました。すると、さっきまで100万回生きたねこにはなりたくないと言っていた人もちょっと揺れる感じに。答えが揺れることはなんとなく想像はしてたわけですけど、いや、それでもこれは実際聞いたらやっぱり大事だと思いました。

 たぶん「こういうふうに人生を終えたい」と思っている影に「でもどうだろうなぁ」という不安があって、それでもやっぱり望むことはそれなりにあり。次の瞬間に人生を全否定するものが来ることも、全肯定することがくることもあるわけで。だから、望んでいることを実現しようとする努力もそこにはあるのですが、そのとき不安はたぶん努力の動力系に組み込まれてしまっているんだろうと思います。望んでいることが実現すればそれまでのことですが、実現しなかったときに何が残るんでしょうか。実現しないとして、それでもまだ次の何かを望むんでしょうか。それとも、自分が自分に定めたこととして何かを望んだのだとしたら、その時点でもう望みは叶ったことになるとかでしょうか。何やらこの類のことが、生き死にを考えるときの深度に関わってそうな気がします。
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tag : 中之島哲学コレージュ振り返り

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 16:00~18:00
・場所:
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